今回は、「声帯の強化」をテーマに書かせていただきます。
声帯は人が歌を歌うために必要な器官の中で最も繊細です。全てが粘膜でおおわれており、周辺の細かな筋肉が幾重にも協調し合って初めて機能するものです。
ですので、声帯とその周辺の筋力バランスに干渉する意識的な行為にはリスクもあります。
しかしながらより充実した響きや、力強い表現を得るには、また何より聴き手の心に迫る歌声を生み出すには、この「声帯の強化」がとても大切になってきます。
声帯は、左右二つの帯状の筋肉が合わさったもので、その間を息が通過することで声が出ます。また周辺の筋肉には声帯を引き伸ばしたり、声帯の位置を上下させたりする役目があります。
「咽頭保持機構」(F.フースラー著『うたうこと』より引用)声帯周辺の筋肉の協調を示している。
これらの筋肉の内、声帯を引き伸ばす筋肉や、位置を低めに保つ筋肉を鍛えることで声を豊かにすることができ、また声帯の密着度を高めることで力強い声を作ることができます。
声帯の強化の方法はいくつかありますが、発声でよく行われる、「響きを集める」という練習によっても、声帯の強化が可能になります。
基本的には顔の前面に響きを集めると、声帯の密着度を高められ、頭頂に響きを集めることで喉の位置を下げ、後方に響きを集めることで声帯の引き伸ばしが可能になります。
またこれらの声帯へのアプローチはどれか一つに偏らず、重点的に練習するポイントを決めながらも、まんべんなく行うことが重要です。これは始めに書いた通り、声帯とその周辺筋はとても繊細なバランスの上に成り立っているからです。どれか一つに偏ってしまえば、バランスが崩れ、声の柔軟性を失うことになります。
声帯へのアプローチは、自分のバランス感覚を頼りに、あるいは信頼のおける指導者のもとで慎重に行うべきでしょう。
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