『グリーンスリーヴス』カウンターテナーの声の秘密

歌曲雑感

この記事では一つの曲を参考に、「カウンターテナーの発声の秘密」についてお話ししたいと思います。

カウンターテナーは3つの声を使い分けている

カウンターテナーは実は3つの異なった種類の声を使い分けることができて初めて声が安定してきます。

 

一つはファルセット、裏声です。これは誰もが当たり前にわかることだと思います。

 

もう一つは地声です。

 

カウンターテナーは通常曲のほとんどの部分を裏声で歌いますが、低音で力強い声が欲しい時、時として地声を使うことがあります。逆に積極的に用いることによって、女性歌手にはできない表現が可能になるため、カウンターテナーにとって必須の声のひとつと十分に言えるものです。

 

ではもう一つは何か。

 

もう一つは「フラジオレット」と呼ばれるものです。

 

これは裏声の一種なので「ファルセット」と本質的には変わらないのですが、カウンターテナーの声を安定させるためには、この声を区別して考える必要があります。

 

「フラジオレット」とはファルセットの中でも高い音域で歌ったときに当てはまる声区です。声帯がファルセットの時よりもさらに引き延ばされ、「きしむ」ような鋭い音色になっていくのが特徴です。

 

このようにカウンターテナーの声には異なった3つの種類の声が混在しているということになるのです。

 

2つの声の融合がとても大切

このように異なった種類の声が混在しているため、カウンターテナーとしてより確かに歌うためには、「統一」「統合」というのが本当に大切になってきます。

 

特に、「ファルセット」と「フラジオレット」の融合はカウンターテナーにとって生命線とも言える重要なところです。

 

このファルセットとフラジオレットの「境界」では、安定した声で歌うことが難しいのですが、この「境界」の音は大体どんな曲にも出てくる音なので、しっかりと取り組んでおかないと、その音がくるたびに声が不安定になってしまいます。

 

例えば、イングランド民謡の「グリーンスリーヴス」を例にあげると、

「グリーンスリーヴス」(カウンターテナー)/ Greensleeves (Countertenor)

私の「境界」の音はシとドの音です。この曲のメロディー(ミソーラシードシーラーファレーミファ〜・・・)ではちょうどメロディーの山になった部分にこの境界の音が重なっています。

 

このときにファルセットとフラジオレットの声区の融合ができていないと、メロディーの一番いいところで声が引っ込んでしまい、ラインが崩れてしまうのです。

 

この境界の融合は死活問題と言えるのです。

 

・・逆に一般に広く信じられている「ファルセットと地声の融合」というのはあまり現実的ではありません。現に日々ファルセットを訓練し強化している私も、「ファルセットと地声の境目が無い」などということはありません。

 

一部のごく軽いテノールの声を持った人は、そのまま裏声に移行ができる可能性がありますが、実はテクニック的に必須という場面はほとんど無いのです。

 

まずは自分の「境目の音」を見つけることから

カウンターテナーの声をより安定させたいなら、このファルセットとフラジオレットの違いを認識して、その「境界」を見極め、その音の安定を重点的にトレーニングすることをお勧めします。

 

私の場合は高音域に移る手前のシとドの音が境界の音でしたが、これにはかなり個人差があります。

 

まずはこの記事を参考に、自分の声に今一度注目してみて探し当ててみてください。

 

もちろんレッスンでの指導も承っています。

 

ご自身の中に眠る美しい声を見出し、ますます磨かれていくことを願っております!

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